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Vol.62 「〇〇の家」は曰く付き? “家”映画傑作選。

新年度になり、色々と様変わりするシーズン。学校が変わる、職場が変わる、住まいが変わる。新しい出会いもあるでしょう。個人的には変化することにあまり抵抗がないタイプなので、新しい何かが起こりそうなこの時期は好きです。ま、今日も今日とて、代わり映えのない毎日を送っているライターのタラです。

今回は久しぶりの「映画紹介」。困った時の紹介モノみたいな側面もありますが、ただ流行の作品を紹介するのではなく、あくまで「暮らし」や「家」という切り口を基準にしているので、作品探しはそこそこ難儀しているのです。ラクをしているわけではない……と言い訳させてください。というわけで、今回取り上げる映画は、原点に立ち返って「〇〇の家」というタイトルの作品。映画の世界にはどんな家が存在するのか? それでは上映開始です。

 


あれこれ映画を調べてみて思ったのですが、「家」をテーマや舞台としている映画には、何故かホラーやサスペンス系が多い。今回紹介はしませんが、怪奇現象が家族を襲う1976年公開のタイトルもそもののずばり「家」や、保険金殺人を取り扱った「黒い家」、招かざる客の不条理な振るまいを描く「湖畔の家」など、オカルトチックなものから殺人鬼が出てくるものまで、挙げればキリがありません。

ということで、まず最初に紹介するのはホラー。タイトルはストレートに「悪魔の棲む家」。1979年の映画ですが、2005年にもリメイク作品が制作されています。タイトルからも推察できる通り、完全にオカルト。しかしこの作品、何と実話を元に制作されているのです。

一家惨殺事件が起きたとある邸宅。犯人はその家に住む長男で、逮捕後に彼は「家が家族を殺すように命じた」と主張していたと言います。

やがて、住人がいなくなったその家に新しい家族が越してきました。殺人事件があった家だということは知っていましたが、その不気味さを補って余りある安さに惹かれて購入してしまったのです。

新生活に心躍らせる家族。しかし、引っ越し直後から家の中で不気味な声が響き始めます。体調を崩す子供たち。次第に精神を病んでいく父親。果たして彼らの運命は……?

非常に古い作品なので現代的映画の派手さはないかもしれませんが、それが逆に妙なリアリティを生み出して、不気味な雰囲気を醸しだしています。

古さがどうしても気になるならば2005年版もオススメ。大ヒットアクション・コメディ「キックアス」でブレイクした女優クロエ・モレッツが子供役で出演しているので、気になる方はその演技にも注目です。

 

 

せっかくなのでホラー?をもう一本。

近年、ホラー小説界隈で人気となっているモキュメンタリ―ホラー。これはドキュメンタリーの手法を用いてフィクションであることを前提とした作品のこと。本当っぽい、本当かもしれない、というリアリティや臨場感みたいなものがウケているのでしょうか。映画で言えば、代表的なのは「ブレアウィッチ・プロジェクト」かな?

そんなモキュメンタリ―ホラー人気の火付け役となったのが「変な家」。ウェブメディア記事やYouTube動画と連動して出版された小説の大ヒットを受け、満を持して映画化されました。

マネージャーから引っ越し予定の一軒家の間取りが奇妙だと相談を受けた、オカルト専門の動画クリエイターの雨宮。その間取りを見て確かに妙な感じを受けた彼は、知人の設計士に意見を求めることに。

そんな折、ある死体遺棄事件が世間の耳目を集めます。しかもその現場は、件の変な間取りの家のすぐ側。設計士が指摘する間取りの不可解さ。そこから導き出される一つの仮説。そして現実で起きている事件。二点の関係性を疑った雨宮はその疑惑を動画として投稿します。すると変な家について知っているという人物から連絡があり……。

ホラーといっても幽霊や怪物が出てくるわけではなく、どちらかといえばミステリー寄りかもしれません。白状すると映画は未視聴です。ですが小説は読みました。読みやすいし、引き込まれます。小説から入って映画に行くのもあり、かも。

 

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ホラーだけではありません。“家”映画にはヒューマンドラマもちゃんとあります。例えば、すべてを失った男の再生を描く「海辺の家」。42歳の建築デザイナーのジョージは、父親との確執が原因で、自分の息子との関係も上手に築けない不器用人間です。妻からも三行半を突きつけられ、出ていかれる始末。当然、会社でも上司と折り合い悪く、ついにはクビ宣告を受けてしまいます。怒り狂うジョージを、さらなる悲劇が襲います。それは医者から告げられた「余命三か月」という、残酷なものでした。

一方、父親の愛情を知らない息子のサムの中にあるのは、ドラッグとパンク音楽、そして父への憎しみでした。

自分の死期を悟ったジョージは驚きの提案をします。それは、ひと夏を使って息子のサムと古い家を建て直すというもの。病気のことを知らないサムは、勝手な提案に反発しますが、ジョージは無理やり同居をスタートさせるのでした。

全くかみ合わず、喧嘩が絶えない二人。事ここに及んでも、どうやって息子と向き合えばいいか分からないジョージ。そんな中、サムがドラッグ絡みの事件に巻き込まれ……。

建築会社のコラムで紹介するのにピッタリな、建築デザイナーが主役の映画です。息子のサムを演じるのは、大人気映画「スターウォーズ」のアナキン・スカイウォーカー役で人気のヘイデン・クリステンセン。某映画紹介サイトでは、彼が何故アナキン役に選ばれたのかが分かる名演と大絶賛されていました。

親とは何か。子とは何か。家族とは何か。そんなことをしみじみ考えさせられる名作です。

 

(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

 

最後に紹介するのはタブーとされる原発問題に切り込んだ「朝日のあたる家」。2011年の東日本大震災の2年後、2013年に公開された社会派作品です。

自然豊かな町で農業を営む平田家は、両親と二人の娘が暮らす平凡な家族です。ただ、長女のあかねはこの暮らしに辟易。ショッピングモールも映画館もコンサートホールもないド田舎です。いつか都会で生活をすることを夢見ていたのでした。

しかし、穏やかな家族の暮らしもあかねの夢も突然止まってしまいます。町を襲った大地震、そして原子力発電所の爆発。即日、避難勧告が発せられ、町を出ることに。数日かと思われた避難は数週間、数か月と延びていきます。いつ終わるとも知れない避難生活に家族はボロボロに。父は失職し、母はノイローゼに、妹は体を壊してしまいます。

終わりのない悲劇の日々を必死に生きる人たちを真摯に描いた傑作。

この映画の舞台は我が静岡県の湖西市。実際にロケも湖西市で行われました。福島の原発事故により避難を余儀なくされた住民や原発従業員への取材を重ね、「原発事故に巻き込まれたらどうなるのか」がリアルに描かれています。

 

(C)「朝日のあたる家」

 

今回紹介した四つの「家」。本来、家はもっとも安心できる場所です。そして、生活の拠点であり、人生の長い時間を過ごす場所でもあります。そんな存在の家だからこそ、ちょっとズラすだけで、物語が動き出します。ホラー系映画が多いというのも、「安心」の対極にある感情が「恐怖」だからこそ描きやすいのかもしれません。

逆に、その「安心」のような感情をストレートに描けば、家族愛みたいな物語になるのでしょうか。はたまた家を偏執的に愛する怖い話になる?

正直、映画のアタリハズレは結構あります。出来もさることながら、個人の趣味も大きく反映されるからです。だから今回の四作品のうち、一本でも「面白かった」と思えてもらえたら幸いです。

それではまた、次回の映画紹介コーナーでお会いしましょう(時期未定)。

 

 

◆過去の映画紹介はこちら

Vol.1

Vol.2

 

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