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Vol.65 空腹は最高のスパイス? ちょっと美味しい食の話。

四十肩が酷い。日に日に悪化しているような気がしています。あまり無いようですが、両肩、やられています。満身創痍のライター、タラです。

家を中心に「生活」そのもののあれこれや、時にはニッチな視点で書き散らかしている当コラム。過去回を振り返ってみて、ふと気が付いたのです。生活というか、生命活動の原点「食」に関して書いたことがなかったな、と。書かなかった理由は幅が広すぎて書きづらいということもありましたが、僕自身が「食」への興味が薄いという極々個人的な理由もあったりなかったり……。

ということで、今回は満を持して「食」の話。恐らくこれから何度も扱うことになる食、今宵はどのように調理しましょうか。


前文でも書きましたが、僕自身はあまり「食」に興味がありません。何を食べても基本「旨い」という感想が沸きますし、猛烈に何かが食べたいという衝動も滅多に起こりません。

そんな食に興味が薄いが故にできた所業をちょっとご紹介。僕が東京で働いていた頃の話です。

勤めていたのは広告事務所で、小さいながらかなり多忙な会社。朝から会社に行き、帰りはほとんど終電、あるいはタクシーでした。

昼休みも別段決まっているわけではなく、12時付近になったら何となく昼休みモードになる感じ。人によっては外食することもありましたが、僕は面倒だったので、毎朝コンビニでカップラーメンとオニギリを購入。最初は銘柄を色々選んでいましたがやがて億劫になり、最終的にはペヤングソース焼きそば+ワカメムスビという組み合わせに着地。来る日も来る日もペヤングとワカメムスビで過ごしました。会社の上司からは「またペヤング?」と奇異な目を向けられた思い出があります。

そして夕飯。述べた通り、帰りは深夜。とても帰って料理をする気力はありません。そうなると選択肢は二つ。コンビニで何か買うか、食べて帰るか。僕が選んだのは外食。とは言え、駅前にあった吉野家です。毎度毎度、頼むのは並盛と卵の黄金コンビ。カレーやら定食メニューは邪道だと何故か思っていました。

結局、会社に勤めていた四年半の内の恐らく1000日程度は、昼「ペヤング+ワカメムスビ」、夜「牛丼+卵」という偏った食生活を続けたのです。それでも別段体を壊すようなこともありませんでしたし、僕は今日も元気です。

そこで得た教訓。『ペヤングと吉野家は毎日でも食べられる』。やはり売れているだけあって、飽きない味付けになっているのだろうな、と勝手に思っていたのでした。

 

 

さて、偏食のススメはこれくらいにしましょう。

僕たち日本人がもっとも口にする料理、それはもちろん和食です。ペヤングにしろ牛丼しろ、日本生まれということで広義では和食。流石に毎食パスタやハンバーガーだったとしたら、もしかしたら体調を崩していたかも……。

ご飯(白米)を中心に汁物、おかず、つけものを基本とした、バランスが考えられた料理体系(一汁三菜)。平安時代後半にはすでにこうした食生活が営まれていたそうで、まさに日本人を支えてきた生命線、根源こそが「和食」と言えるかもしれません。

生まれてこのかた、ずっと食べてきた贔屓目がないとは言いませんが、和食は味や栄養バランス、創造性やバリエーションを考えても、世界有数の料理だとしても過言ではないでしょう。

しかし、俗に言う「世界三大料理」に和食はカウントされていないのです。てっきり和食は入っていると思っていました。

実際に世界三大料理として定義されているのは「フランス料理」、「中華料理」、そして意外かもしれませんが「トルコ料理」です。え、トルコ料理? フランス、中華と比べるといささか知名度が低いような。知っているのはケバブとトルコアイスくらいです。

ネットで調べてみても、やはり馴染みが薄いトルコ料理が入っていることに疑問を持つ人が多いようで、解説記事が結構アップされていました。

そもそも、どうやって「世界三大料理」なるものが決められたのでしょうか。諸説ありますが、いつかは知れない昔にヨーロッパの歴史家、料理研究家らが決めた、というのが一般的だそうです。ではどんな基準で選定されたのか。

フランス、中華、トルコの各料理に共通するのは「宮廷料理」として発展した歴史を持っているということです。宮廷料理とは、これまたイマイチ馴染みがないですが、簡単に言えば時の王様にふるまわれた豪奢な「宴会料理」みたいなものでしょうか。

トルコ料理の発展、世界三大料理入りへの大きな後押しとなったのは、15~16世紀に西アジアから東ヨーロッパ、北アフリカの三大陸に及ぶ広大な国土を支配していたオスマン帝国。オスマン帝国の歴史に関しては、とてもここで書ききれるものではないので割愛しますが、ともかくこの時代に支配下にあった地域の様々な食材やノウハウが集まり独自の発展を遂げた、とのことです。後にオスマン帝国は滅亡。トルコ料理が馴染み薄いのはその影響かもしれません。

一方、この世界三大料理を見直すべきという声もあるとか。味覚や価値観は時代とともに移り変わるもの。現代に即した基準で選び直そうということで、その中には我らが和食やイタリア料理などが候補にあるようです。

 

 

折角なので、日本の絞って話を進めてみましょう。

聞いたことがあるかもしれませんが、僕たちが当たり前に、あるいは好んで口にしている物の中には、実は「日本人意外はあまり食べないもの」が結構あります。

基本、ナマモノは敬遠されがちですが、昨今の和食や寿司のブームもあり、生魚はそれでも市民権を得つつあります。が、同じナマモノでもどうやら「生卵」は無理という外国人が多いそう。食中毒の原因となるサルモネラ菌が怖いと言う衛生面の問題もありますが、そもそも「見た目が気持ち悪い」や「焼いた方が美味しい」という意見も多いみたいです。卵かけご飯専門店が人気になるくらい、日本ではポピュラーですが、諸外国ではまだまだのようです。ちなみに、僕もあまり生卵得意ではなかったりします。まあ食べられますけど。

 

 

意外なものでは松茸も、ほとんど日本人しか食べないようです。日本では高級食材なのに……。敬遠される一番の理由は独特のニオイだそう。外国人にとってみると松茸のニオイは「革靴にこもった臭気」「不潔な人の靴下の匂い」と揶揄されるほど忌み嫌われています。確かに独特のニオイだとは思いますが。

ちなみに松茸自体は世界各地で収穫されますが、その中でスウェーデン産松茸の学名は「Tricholoma nauseosum」と言うそうで、これは「吐き気をもよおさせるキシメジ(松茸はキシメジ科)」と言う意味。いくらなんでも例えが酷すぎる!!

 

そんな中にあって、好き嫌いではなく、もっと生物学的な意味で日本人しか食べない、いや食べられないのが「生の海苔」。正確に言うならば、生の海苔を消化できるのは日本人だけで、外国人が食べてもそのまま排出されてしまうそう。海外の寿司ブームから分かる通り、焼海苔や味付け海苔は普通に消化できるのに、何故??

何故こうした差異が生まれるかには諸説あり、日本人だけが海苔を消化できる酵素(腸内バクテリア)を持っており、これは古くから海草を食べてきたから得た体質である云々……。

しかし、昨今ではこの説もやや懐疑的に見られているとのこと。そもそもフランスの某研究チームによって「生の海苔を消化できるのは日本人だけ」と発表されたのですが、この際に対象としたのは極少数の人数(北米人18人、日本人13人)だったと言われています。流石にこの人数をだけで断定するのはどうかと思いますが……。

まあだからと言ってどうだということもないのですが。

 

 

文化が変われば食も変わります。日本と海外に限らず、日本国内だって地域や風習によって味付けは違うもの。正月に食べるお雑煮なんて、日本全国に何パターン存在するのかという位、地域によって味も見た目も違います。でもそれでいいのです。拒否するだけでなく、理解し、歩み寄ること。美味しい食事は、まずそこから始まるのではないでしょうか?

 

 

 

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