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Vol.32 趣味も個性も性癖も?? 本棚が教えてくれるモノ。

早いもので2023年が始まって、あっという間にひと月が過ぎてしまいました。感覚的にはまだ一月半ばくらいの感じなのですが……。やはり歳を重ねるごとに時間が早く過ぎるのでしょうか。気だけは若くいたい、ライターのタラです。

さて、本コラムも30本を越えました。手を変え、品を変え、あれこれと書いてきたわけですが、過去のテーマの中には書き足りなかったものもチラホラ。

ということで、今回は記念すべき第一回で取り上げた「本棚」を再度フォーカス。僕が一番好きな家具について、さらに好き勝手語りたいと思います。どうぞ気楽にお付き合いください。


第一回のコラムでは、本棚には持ち主の隠された個性や特長が滲み出る、という話を書きました。友人と弟に犠牲になってもらい、本棚の恥ずかしい秘密をぶちまけまています。興味のある方は是非、過去コラムをご覧ください。

Vol.1 ほんとうは怖い? 本棚のハナシ

https://cac-kenchiku.com/entry01/column210929/

そう書きながら、自分のことは語っていないわけで、それはフェアではないなと、今更ながらに気づきました。ということで、少々自分語りを。

現在、僕の部屋には四台の本棚があり、ざっと数えた感じ、多分1000冊くらいの小説や漫画が並んでいます。

わずかにスペースは余っていますが、増え続ける蔵書にすぐに埋め尽くされることでしょう。結局、重ねて入れたり、棚上に置くことになりそう。

何度か当コラムでも書いたと思いますが、僕は結構部屋のレイアウトをいじります。部屋にはパソコン机とベッド、本棚しかないため、その三つの配置を変えるわけですが、当然一番重たいのが本棚。動かすたびに中の書物を出し、また並べ替える作業をやっています。そしてその都度、一瞬だけ本の並べ方を考えるのです。

 

 

ダン・シモンズという作家の「ダーウィンの剃刀」という小説の中に、興味深いシーンがあります。主人公の部屋を訪れたヒロインがその本棚を見て、どんな順番で本が並んでいるのかを当てるというもの。

パッと浮かぶのは作者順、出版社順、ジャンル順、ちょっと捻って発行年月日順……本屋や図書館はだいたいここら辺の分け方で並べてあるはずです。

さて正解は……作者の出身地順。本棚をアメリカ合衆国の地図と見立てて、著者同士の大まかな出身地ごとに本を並べていたのでした。

小説そのものの筋はあまり覚えていませんが、このシーンだけは妙に印象に残っています。

 

そんなこんなであれこれ並べ方を考えようとは思うのです。が、並べている途中で疲れ果てて、とりあえず突っ込んでおくのがお決まりのパターン。シリーズものだけは何となくまとめて並んでいますが、途中からは手あたり次第という感じです。結局、読み終えたら入れる、読み終えたら入れるの雑なスパイラル。

そもそも、コロコロ部屋のレイアウトを替えるのも、僕自身の美的センスが乏しいのも一因。本並べにもそのセンスのなさがもろに影響しているわけです。

 

昔、デザイナーの友人宅にお邪魔した時の話。彼は別段本を読むタイプではありませんでしたが、仕事で使う資料やらデザイン集、趣味のフィギュアやCDを整理するために、大き目の本棚を設置してました。そんな中にふと、一冊の小説が表紙を向けて並べてありました。タイトルは覚えていませんが、キレイなイラストの表紙です。

「好きなイラストレーターの絵だから飾っている」

と彼は言っていました。洒落ているなぁと思いました。流石デザイナー。ちなみに読んではいないとも言っていました。

これが僕にはできない。そもそもいわゆる本のジャケ買い(表紙買い?)をしたことがありません。読みたいから買う、だけです(読んでいない本は山ほどありますが)。

 

 

そこらへんは感覚の違いなのかもしれません。僕自身、本棚もインテリアの一つだとは思っています。飽きスペースにガンダムのプラモデルを飾ったこともありましたが、結局本を置くスペースがなくなったので移動してしまいました。

やはり僕にとっては、何よりも本がぎゅうぎゅうに詰まっていることこそが肝要。バラバラな判型が偶然的な凹凸を作り、カラフルな背表紙が絶妙なグラデーションを描く。充分立派なインテリアだと思いませんか?

ちなみに、読みたい本を探すのは難儀します。端からスーッと追っていき、中々見つからずに、イライラしながら手前の本をわざわざ取り出すはめになることもしばしば。その分、見つかった時はこれが何とも言えない達成感があります。この達成感のためにわざわざ雑然と並べている節もあったりなかったり。いささかMっ気が勝ちすぎでしょうか?

 

 

第一回でも書いたことですが、本棚ほど持ち主の内面が滲み出てしまう家具はないと思っています。それは本棚というものが、実際に本が収まって初めてその意味が生じるからです。

例えばソファー。一人掛け、二人掛け、リクライニング、レザー、レトロ……色々な形状があります。では、選ぶ基準はなにか? 好きな形なのか色なのか、あるいは部屋の雰囲気にマッチするのか……そんな所でしょうか。もちろん丁度いい場所に置き、座るわけです。しかし、座っていないときでもソファーはソファーです。

禅問答のようになってしまいますが、座っていなくてもソファーは成立しているとでも言いましょうか。うーん、伝わるかなぁ……。

しかし、本棚は違います。カラの本棚が部屋にあったら不自然です。そして意味がない。小説でもいい。漫画でもいい。オモチャでもCDでもいい。何かが並んで初めて価値が生まれます。そして、その並べるものは、個人の趣味趣向、もっと言えば癖みたいなものの集合体なわけです。

図書館や本屋ではあるまいし、基本、部屋の本棚は極々私的なもの。たいていの場合、家にある書籍等を並べるためにあります。誰かに見せることを想定していません。だからこそ隙がある。異性にモテるためのハウツー本だったりアイドルの写真集だったりがポロっと顔を出すわけです。

 

僕の友人は、僕が読書好きだということは知っています。しかし、ではどんな小説が好きなのかは多分知らないはずです。聞かれたことがないし、普段読書をしない相手に一方的にこちらの好みを話しても興味を抱くはずもありません。

しかし、僕の本棚を見れば好みの傾向は朧気ながら掴めるかな、と。ちなみに、小難しいのは苦手なので、漫画も含めSFモノが多かったりします。あとホラー。

 

 

いつかは壁一面を本棚にしたい野望があります。お金がないので完全DIYで。そしてその制作過程を当コラムで紹介できたら面白いなぁなどと考えております。が、果たしていつになることやら。

並べきれなくて、床や机に平積みされていく本を憂いながら、今日は何を読もうかな、と考えるのでした。

 

 

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