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Vol.26 これぞ大人の秘密基地。ビルトインガレージを考える。

冬はもうすぐそこ。夏は夏で色々ありますが、冬も負けじとイベントは盛りだくさん。まあ僕は寒いのが苦手で、もっぱら家でヌクヌクしたい派ですが。ライターのタラです。

さて今回のテーマは、個人的にはちょっと未知の領域。駅前の商店街に居を構える僕にとっては、多分一生縁がないかもしれない「ビルトインガレージ」をピックアップ。

ただ、調べてみると、何やら秘密基地感満載で、心くすぐられるものが……。ではでは、知られざるビルトインガレージの世界を覗いてみましょう。


このコラムをスタートする前のことです。おおまかな方向性は決まっていたのですが、ではどんなことを書いていこうかと悩んでいました。とりあえず、友人知人にアドバイスを求めたわけですが、その中の一人が言いました。

「ビルトインガレージだろ、欲しいのは!」と。

はて、ビルトインガレージ? パッと浮かびませんでした。友人曰く、「家を建て直す際は、絶対にビルトインガレージにする」とのこと。熱を帯びる説明を受けて、やっと合点がいきました。駐車場内包型住居。建物の一部分(一階部)をガレージにする、アレです。

僕の中で真っ先にイメージしたのは「所さんの世田谷ベース」という番組。この番組は、タレントの所ジョージさんが自身の仕事場(事務所)兼ガレージを拠点として、勝手気まま、自由に遊びまくる内容。その拠点となる世田谷ベースが、まさにビルトインガレージなのです。検索すればすぐにヒットしますが、確かに遊び道具満載、一日いても飽きない、そんな感じのスペースなのです。

もし友人が世田谷ベースみたいなものを欲しているとしたら、ガレージだけではなく肝心なのは中身の方ではあるのですが……。まあ、単なる駐車場としてだけでなく、何かしらの趣味スペースとして活用できたら、確かに楽しそうです。

 

 

ビルトインガレージ初心者として、そのメリットや魅力とは何なのか、改めて掘り下げようと思います。

調べてみるに、主にメリットとして挙げられるのは以下の五つ。

・土地が狭くても、駐車場スペースが確保できる

・ガレージ内に入口を作れば、雨天時でも濡れずに出入りができる

・採光や通風に適した間取りにできる

・税金を安くできる場合がある

・趣味部屋としてなど、多彩な使い方ができる

 

この中で、僕がもっとも心惹かれたのは、ベタですが濡れずに出入りができるという点。これは我が家の駐車事情が多分に影響しているわけで。僕が住む商店街内は、早朝と深夜を除くと基本車の通行はできません。だから当然、ビルトインガレージを持っているお宅は近所にはなし。これが最初に述べた「多分一生縁がない」ということです。だから300メートルほど離れた場所に借りている駐車場まで歩かねばならず、車としてのメリットがあるのかないのか。重たいモノを買ったり、大雨だったりするたびに「家の前に駐車スペースがあれば」と臍を噛むのです。

ビルトインガレージはそのさらに進化版。いわば屋内まで車を入れられるわけで、ともすれば一切濡れずに雨天時でもお出かけ→帰宅ができちゃうわけでしょう。これは羨ましい限りです。

 

次いでやっぱり、趣味部屋を持てるということでしょう。最近ではDIYをする人が増えたり、アウトドアブームでもあり、そういった際の作業や道具を置いておくにもビルトインガレージという屋内であり外でもあるスペースはベストかも。意外にキャンプで使った道具は汚れますし、それを室内に持っていくのって、抵抗を感じるもの。それもこうしたガレージがあれば、車から降ろしてすぐ洗えて干せるので、室内を汚さずに済みます。広めのガレージを持てれば、大きなテントやタープを干すことだってできるかもしれません。

さらに上級者?ともなると、ガレージ~居住スペースを吹き抜けにして、その中間に簡易リビングや書斎を設けている猛者もいるよう。僕はそれほどではありませんが、例えば車好きの人などは、常に愛車を近くに感じられるのはたまらないのだとか。

 

 

税金面での話も少々気になるところではありますが、家にまつわるお金の話は、いずれまとめて取り上げてみたいと思っているので、そちらに譲ることにします。

 

何だか、いいことしかないようにも思いますが、どっこい世の中そう上手くはいきません。ビルトインガレージにも失敗談やデメリットはあるのです。

真っ先に挙がるのは、住居スペースとガレージが一体化しているが故の必然、騒音や振動の問題でしょう。こればかりは完全にゼロにするわけにはいかないかもしれません。寝室や子供部屋をガレージ近くに設置しないなどの配慮が必要な他、開閉音が静かなオーバースライダー※タイプのシャッターを導入するなど、追加の手間やコストがかかってしまいます。

(※天井にスライドして収納するタイプのシャッター。シャッターを巻き取る必要がなく、そのため開閉が静かに行える)

そしてもっと切実な問題。それは排気ガスによる臭い。シャッターを閉めた状態でエンジンをかけたりする場合(暖機運転など)、ガレージ内に排気ガスがこもります。対処しなければ臭いは生活空間まで……。当然、排気ガスは有毒。健康被害に繋がる可能性すらあります。換気扇を取り付けたり、小まめにシャッターを開閉して空気を入れ替えるなど、臭い対策は必須です。

その他、作り直しが困難だったり、単純に建築コストが高かったり、間取りが制限されたりと、あれこれ挙げればキリがありませんが、最後にもう一つだけ。

我が町、静岡とは切っても切れないポイント、耐震性の低下は見逃せません。大地震が来ると言われ続けて何十年。恐らく、日本全国の中でも、県民の地震に対する意識は随一でしょう。それだけに、このデメリットはいささか考えようかもしれません。

ビルトインガレージは構造上、車の出入口側にほとんど壁がなくなります。建物そのものを支える柱や壁が減ることは、そのまま脆さに繋がります。もちろん、耐震性がゼロになるわけではありませんが、普通の建物と比べれば低くはなります。壁がなくとも耐震性を確保できる設計、構造をキチンと考える必要はあるかもしれませんね。

 

 

さて、不案内なりにビルトインガレージを考察してみました。こうやって書いてみて、個人的には欲しいな、と。ただ先述した通り、我が家の立地を考えると、恐らく持てないだろうなぁ。

そして、「絶対にビルトインガレージ」と豪語していた友人のE君。当面、家を建て替える予定はなさぞうですが、果たしてその願いは叶うのか。生暖かく、見守っていようと思います。

 

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