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Vol.37 他人には解らない……家にも潜む?“恐怖症”の世界。

いよいよ夏到来。楽しいことも盛りだくさんですが、個人的には冬の方が好きです。夏が似合わないライターのタラです。

さて、楽しみが多い反面、気を付けなければいけないのが夏の暑さ対策。最近では携帯用扇風機をはじめとした冷感グッズも流行ってますが、ここは初心?に戻って、怖さや恐怖で暑さを吹き飛ばそう! ということで、今回は少し趣向を変えて、家の中や身近な生活に潜む「恐怖症」の嘘のような本当のお話。怖い人には耐えられない。でも怖くない人には全く理解できない……冷感効果があるかどうかはあなた次第? それでは始まり始まり~。


自慢話じゃありません。中学校の頃、とある女の子に好意を持たれていました。誘われるがままに一度映画に行くと、以降彼女のように振るまわれました。まだ初心だった自分。男女の付き合いの何たるかなど知らず、まあ好意を持たれてそんな悪い気もせず、何となく決断もしないままに過ごしていたのです。しかし、それが間違いでした。

彼女の行動が段々とエスカレートしていきます。学校の机を勝手に漁られたり、家の前で待ち伏せされたり、あらぬ噂を流されたり……。当時、まだこの言葉はありませんでしたが、今で言えば確実に「ストーカー」行為の部類です。

中でも苦痛だったのが「電話」です。携帯電話などなく、電話と言えば家の電話の時代。家に電話するということは当然、誰が出るのかわかりません。しかし、彼女は毎日電話をかけてきたのです。それも僕が学校から帰ってくるタイミングを見計らって、です。何も知らない家人は、普通に電話を僕に取り次ぎます。しかも、それが毎日続くのです。

子供ながらに何となく親にバレるのが恥ずかしかったのですが、流石に隠し切れません。状況を説明して、電話が掛かってきても取り次がないで欲しいと伝えました。

その一時期、電話は僕にとって恐怖でした。呼び出し音が鳴るたびにビクッとなり、息苦しくなり、時には頭痛も……。

最終的には、直接本人にとてもここでは書けないような辛辣な言葉をぶつけ、諸々の行為は終わるのですが、仮にあのまま放っておいたら、もしかしたら電話に対する恐怖が増大して、心的な何か、例えば「電話恐怖症」あるいは「女性恐怖症」になっていたかもしれません。それくらい苦痛でした。

 

 

そもそも恐怖症は、ある特定の状況や対象に過度で、異常なほどに恐怖を感じ、それによって生活や精神状態に支障をきたすもの。高所恐怖症や閉所恐怖症、最近だと対人恐怖症などは、誰しもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

一般的に〇〇恐怖症と呼ばれるものは数多あり、学術用語と記録されているものだけでも200種類を超えるとも言われているそうです。

この恐怖症の難しいのは、その線引き。誰しもが、何かしらを怖いと思い、恐怖を感じるものです。そして、その度合は人それぞれ。

例えば、多くの人が苦手で、忌避を感じる害虫・ゴキブリ。僕も当然苦手です。部屋に出ようものならば何とか近づかないように処分する方法を考えます。しかし友人のE君は、ある時飲み屋でゴキブリと遭遇した際、普通に手で払いのけていました。その所業、ゾッとしました。

一方で、部屋で見かけたらそこに居られないという人もいるでしょう。気を失う人だっているかもしれません。

では、どの段階に達したら「恐怖症」とするのか。突き詰めていくと、心の問題であり、それは当人にしか判断できません。

極論を言えば、例えば「ゴキブリが出た家ごと焼いてしまう」みたいなことになれば、それは心の治療が必要なレベルだと判断できるかもですが……。

一般的には、

  • 本人のみならず周囲にも多大な不利益がある
  • 日常生活や仕事がまとも送れない影響がある

などの基準で、治療をするかどうかを決めるしかないようです。

 

 

高所恐怖症ならば高い所に行かなければいい。閉所恐怖症ならば密閉された場所や狭い空間を避ければいい。ゴキブリが怖ければ部屋や家を清潔に保つことである程度はリスクは減るでしょう。

無論、気をつけていても避けきれない可能性はあるし、先述した通りに程度に個人差があるので簡単に解決とは行きませんが。

しかし、世界中には他人にはおよそ理解できない事象が恐怖の対象となっている人がいるのです。ちらっと調べただけでも「ピーナッツバター恐怖症」、「風船恐怖症」、「正しさ恐怖症」、「携帯電話不携帯恐怖症」などなど、理由を聞いてもにわかには信じがたい恐怖症もあります。

そして当然、その対象が日々私たちの暮らす「家」の中に潜んでいる場合もあるのです。

 

【Case.1】階段恐怖症

階段の昇降に過度な恐怖やストレスを感じるというもの。たいていは落ちそうな感覚を覚えたり、手すりがないと不安になったりする症状が多いようですが、悪化するとステップに足をかけるだけでパニックになるなんて場合も……。

足腰の筋力の衰えや、過去階段から落ちたトラウマが起因となる場合もありますが、若く健康な成人がある日突然発症したなんて例も報告されています。立つ、歩く、走るなど、日々の動きによって体が自然と動く「自動運転機能」に何らかの不調が起こっていると考えられます。詳しくは「階段イップス」を検索してみてください。決して、他人事ではないのです。

 

 

【Case.2】鏡恐怖症

容姿に関するコンプレックスは誰しもが持っているもの。はたから見れば気にならない箇所でも、当人はそれが嫌で嫌でたまらない。結果、鏡で自分を見られなくなるという症状です。10~20代の思春期に多く、酷くなると車の小さなミラー、ビルのガラスに写る姿すら見られなくなることもあるそう。

そしてもう一つが、鏡に霊的な何かが写りこんでいるのではないか、ということに対する恐怖。正直、これは少し分らなくもない……かも。昔観たホラー映画で、ふと鏡を見るとそこに霊が写っているシーンがあって、それが不気味過ぎて、以降ちょっと鏡を見るのが怖くなったものです。

 

 

【Case.3】換気扇恐怖症

コロナ禍を経て、SNS等で話題になったのが換気扇恐怖症。店内や屋内施設で換気に注意を払うことが増えて、同時に換気扇そのものが怖いという声がクローズアップされました。正直「?」と思ってしまいますが、実は結構悩んでいる人が多いと言います。

具体的には、回っているファンに巻き込まれそう、奥が暗くなっていて怖い、吸い込むという機構そのものに恐怖を感じるなどなど、理由は多岐に渡っています。

そして意外にもビルの地下にあるような大型のものよりも、家の洗面所や風呂場に設置してある家庭用換気扇の方が怖い、という声が多いとか。風呂に入るのもひと苦労です。

 

 

【Case.4】住居(帰宅)恐怖症

家そのものが怖いという人もいます。建造物としての家よりも、どちらかと言えば「家に帰る」という行為に恐怖を感じることが多いよう。用事もないのに寄り道をして何時間も潰したり、わけもなくホテルに泊まったり、無い残業をして会社に残ったり……。

圧倒的に家庭を持っている男性に多い恐怖症で、その最大要因はずばり「妻が怖いから」と言われています。無論、生活スタイルは常に変容しており、昨今では共働きや専業主夫という形を取る家庭も増えているので、あるいは立場が逆になることもあるでしょう。
ただどのような家族の形であれ、家に帰りたくないに共通するのは、家に「居場所がない」「安らげない」と感じてしまうこと。大げさではなく、悪化すれば離婚や家庭崩壊を招きかねない深刻な問題なのです。

 

 

昔から、「病は気から」なんてよく言います。もしかしたら恐怖症はその最たるものかもしれません。しかも、他人に言っても全く理解されない性質のもの。それがさらなるストレスとなり、症状を悪化させる可能性もあります。

しかし昨今はSNSなどの普及により、ネット上で微に入り細にうがった情報がやりとりされています。恐怖症に対する悩みや相談もその一つ。吐露することで、思わぬ理解者や同士に出会うことも多いそうです。それによって気持ちが軽くなったという声もあります。もし、あなたが他人には理解できないだろう「恐怖」の対象を抱えているならば、ネットに投げかけてみるのも一つの手段かもしれません。

 

そういえば、父親が好物でいつも買ってくる小分けのチーズが値上がりしました。「30円も高くなった」と愚痴っています。会社の自販機に「値上げのお知らせ」が掲示されていました。タバコの値上げペースが異常に早い。あれも値上げ。これも値上げ。嗚呼、怖い怖い。これって「値上げ恐怖症」でしょうか。

 

 

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