床の断熱、どうやって決めていく?
このところ、住まいの性能について家づくりを考えている方にも
大分認知されてきているのかなと思います。
性能といっても、温熱(断熱気密結露)、耐震、耐久・・・色々とありますが
今回は断熱、特に一階の床や基礎の断熱材についての考えを書いてみました。
先ず、断熱材とは・・? というところから。
断熱材は外部の暑さや寒さから室内空間を守り、快適な温熱環境を維持するために
家の外周部に入れる材料です。
健康に暮らしていくためには必須の事柄になってきます。
また、何十年も住まいを維持していくということにも繋がっていくことですが
この辺はまた違う機会に触れていこうと思います。
外周部に断熱材を入れるということですが、具体的に何処に・・・?
ということも簡単に触れておきます。断熱材は見える部分にはとりついておらず、
一般的に言う家の「下地」の部分にはいっています。
壁は外壁面(壁の中だったり壁の外だったり)、天井レベルには天井裏または屋根面、
床レベルの場合は一階の床または基礎(コンクリート)に設置します。
断熱材施工の効果として防音などを期待する場合以外は室内の壁(部屋と部屋の間の壁)
や1階の天井裏(2階の床下)などには断熱材を入れません。
今回は床レベルに入れる床または基礎に設置する断熱材に触れていきます。
床または基礎にと言いましたが床に入れる方法を『床断熱』、
基礎に設置する方法を『基礎断熱』と言います。床に入れる断熱材は、
その名の通り一階の床板の下、土台と同じレベルに断熱材を入れていき、
基礎断熱は基礎のコンクリートに断熱材を貼り付けていき、
床板の下や土台レベルの部分には断熱材を入れません。
(床の土台レベルに入れる床断熱)
(基礎のコンクリートに断熱材を貼り付けた基礎断熱)
※ 基礎に断熱材を貼り付ける場合ですが、基礎の外側につける場合と、
写真のように基礎の内側に貼り付ける場合とがあります。
床断熱と基礎断熱をどのように使い分けていくのか・・・?
と言うのが本題になってきますね。
工務店や設計事務所によって、それぞれの考え方があり「床断熱しかやりません」とか
「基礎断熱専門です」と言う方達もいらっしゃいますが、
弊社では「状況に応じて最善の方法で計画、施工していく」というスタイルが
一番いいと思っております。
状況に応じて・・・? と、なりますね。
弊社ではここがとても大事なところだと考えています。
家づくりをしていくときには
「新しい住まいで家族とどんな暮らしをしていきたいか」
「どんな室内環境で暮らしていきたいか・・・」
などの色々な想いから住まいの計画が進んでいき 間取りや外部空間
1階リビングか? 2階リビングか? エアコンはどうするか?
換気はどうするか? などが決まっていきます。
(2階リビングのパッシブハウス・・・床断熱)
そんな中での検討で『床断熱』か『基礎断熱』かを諸々考慮して決めていきます。
では、それぞれの特徴はというと
床断熱の場合、
・ 外の地面から建物に上がってくりシロアリに対してチェックや管理がおこないやすい。
・ 床下は外部空間として考える
・ 床断熱でも断熱性能をあげていけば室内においての上下温度のムラがなくなり
快適な空間を計画できる
・ 気密性能を確保するための処理に難易度が上がる
基礎断熱の場合、
・ 床下エアコンや太陽光パネルでの空気集熱を使った暖房を採用
できるため床付近の温度を上げることができる
(エネルギー的には不利になることもある)
・ 床下も室内空間として考える
・ 基礎のコンクリートを蓄熱体として考えることができる
(※慎重な検討が必要)
・ 気密性能を確保するための施工がしやすい
などがあります。
これらのことを踏まえて、いくつか道標(みちしるべ)的に例えをあげてみると
・ 住宅密集地などで暖かな日差しの取り入れを期待できない時、
集熱パネルや床下エアコンを採用して足元から暖かい空間を計画
するために基礎断熱を採用。
・ 2階リビングで計画(一定以上の性能を確保し家全体での温度ムラを
極力少なくして計画)暖かい空気は上昇するため自然と2階の方が暖かくなり
家族で暮らすことの多いリビングやダイニングなど共用空間が暖かく
快適な空間を計画するため床断熱で計画。
・ シロアリに対する耐久性を重視して基礎の点検や建物の維持管理に
容易な計画とするため床断熱で計画。
※ あくまでも例として見ていただき、実際にはその他にも加味するところも多々
出てきますのでしっかりと相談して検討していってください。
(床下からの温かい空気を利用したリビング・・・基礎断熱)
※ 写真赤枠が床下暖気の噴き出し口
このように、暮らし方や生活の環境、家づくりの考え方により一定以上の性能を
確保した上で『床断熱』か『基礎断熱』かを計画していきますが、家づくりを
お考えの方は先ずはベースとなる暮らし方や生活の環境を意識してイメージしたものを
つくり手側にお伝えしていただくことがスムーズな家づくりとなるのではないでしょうか。
その上で上記のような特徴を頭の隅に置いておき、しっかりとした知識と
施工技術を持った工務店、設計事務所の方に計画していってもらうことが
大切だと思います。